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彼女の家電から着信があったので電話に出てみたところ、

「え…!あれっ?!」と言い慌てた様子で切れたので、

こりゃ只事じゃないぞ、と思って掛け直してみると、まごまごしながら、

「携帯が見当たらないから、自分に掛けたつもりだった」

と言われ、これは本当に只事ではないなと思った、

よしたろ(26歳 まさしく有事)です。


自分の携帯に掛けたつもりが、彼氏に掛けたんだったら、

彼氏に掛けたつもりが、お客さんに掛けてしまう可能性だって否定出来ない。


「もしもし四菱商事、木村でございます」

「あー、あたしあたしー」

「は??」

「あたしだって!」

「あたしと仰いますと??」

「だから、あたしだよ!分かんないの?!」

「…え、いや…(も、もしや会社のお偉いさんなのか?)」

「今度の旅行の件で電話したんだけどさー」

「あ、来月のEU工場の視察旅行の件でしょうか?」

「せっかくの旅行なのに、視察とかしないよ!そんなの見ても仕方ないじゃん」

「仕方ないのでございますか?(やっぱり幹部なんだ…)」

「そんなことより、旅行いつ行く??」

「に、日程ですか?EUの件でしたら、来月の24日出発の予定になってます」

「24日はダメって言ったじゃん!仕事で海外に行くんだから」

「は??別件でどこかに行かれるんでしょうか?」

「そうだよ、工場の視察に行くんだよ」

「え、先ほど工場なんか視察しても仕方ない…と?」

「あたしは見たって仕方ないけど、お客さんが見たいって言うから」

「…お客さん、でございますか??」

「そう、お客さん。四菱商事」

「????…失礼ですが、どちらの会社の方でしょうか?」

「近畿日本ツーリストだよ」

「四菱商事の旅行を担当されてる、旅行会社の…?」

「そうそう、前に話したじゃん。今度は四菱の視察旅行を企画してるって」

「もう一度確認しますが、旅行会社の方なんですね?」

「そうだよ、よっちだって同じ会社だったじゃん」

「よっち??」

「そうだよ、自分の名前も忘れたの?」

「…わたくしは、木村と申しますが…」

「あれ、よっちじゃない?」

「木村です」





…みたいなね、

正気の沙汰とは思えないような間違いを繰り返さない為にも、

一刻も早く病院へ連れて行く必要があるな、と思ってます。

彼女のためにも世の中のためにも。



つーわけで、触りにも出てきた通りね、

よしたろと天然彼女は、二人して旅行会社で働いてたわけ。


でね、たまの休みの日には旅行にも出掛けてたわけなんだけど、

ある日人里離れた温泉へ行こうってことになりました。


そんでそのときの旅行に関しては、

せっかくだから駅から温泉まで歩こうぜ、つー話になって、

重たい荷物を持ってトボトボ歩いてたわけなんだけれども、

しばらく歩いてみた結果、さすがに片道7キロは歩けねぇだろ、

つーことで、「ねえ、バス乗らない??」って言いました。


したら、「何で??まだ歩けるよ??」つって。

いや歩けるにしても、今歩く必要はねぇだろつって諭してみたんだけど、

「ここで諦めたら、今までの努力が台無しだよ?」つーから、

思わず「部活かよ!!」って言いました。


しかも、今までの努力とか言えるほど歩いてなかった…

駅のロータリー出たばっかりだった…



で、結局よしたろは二人分の荷物を持って歩かされるわけだけれども、

本当ね、日頃の溜まった疲れを取る為にここまで来たのに、

これ仕事してた方がまだ楽なんじゃね?つーほど、朝から疲れてたかんね。

途中で野宿しようかと思いました。宿とってたのに。


でね、6キロぐらい歩いたかなー??

丸山弁護士とか、欽ちゃんの気持ちとかすげー分かり出して、

「ZARD」の負けないでとかもバンバン鳴って、

旅館と言う名のゴール見え始めたころに、

終始無言で歩いてた彼女が、驚愕の一言。































「…バス、乗ろう」














乗るの?!



「そうだ、京都行こう」

みたいなちょっとした思い付きで言い出した一言だけど、バス乗っちゃっていいの??

武道館(ゴール)とかすげー目の前だけど!!

徳光さんとか、すげー泣いてたよ?


「ここで諦めたら、今までの努力が台無しだよ?」つーセリフ、

そっくりそのまま返したい。つか、返した。


したら、「過去に囚われるのは良くない」なんつって、

あぁこいつは大物だな、と思いました。



で、結局彼女の意見を尊重するっつーか、

まぁ正確には、彼女の意見に言い包められただけなんだけれども、

次のバス停まで歩いて、そこからバスに乗る運びになったわけ。



2、3分ぐらい歩いたところで、視界の先にバス停が見えてきたんだけど、

彼女は生まれて初めてバス停を目の当たりにしたかのような喜びようでね、

「ほら、あった!バス!バス!!」つって、

気の毒になるくらいバス連呼してた。バスじゃないのに。


「本当だ、よかったねぇ。バスに乗って行けるねー」

「うん、あたしは最初っからバスの方がいいとは思ってたんだよ」

「・・・(最初から?!)」


とか、和気あいあいとした会話を繰り広げながら歩いて、

バス停まであと数百メートルぐらいの距離まで来たところでね、

「ブロロロローッ」つって、背後からバスが追い抜いてって、

遥か前方の停留所へ停まったわけ。


したら、彼女が200メートルぐらい先にあるバスに向かって、

「あ、バス来たよ!バス!!乗る?!」つって。




…取り敢えず、「乗る」とか「乗らない」じゃなくて「乗れない」。

バス停とか遥か彼方にあった。選択権、無し。


その様子を見ながら、今いるこの場所からバス停までの距離と、

付き合ってもう5年になるのに、未だに理解が及ばない二人の間柄と、

どっちが遠いんだろうな、なんて思いに耽ったあと、僕の目に飛び込んで来たのは、

バスへ向かって全力疾走する彼女の姿でした。




「あたしも乗りますーー!!」



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